福祉・介護職員等処遇改善加算について<基本的な考え方>
障害福祉サービスには様々な加算・減算がありますが、なかでも「福祉・介護職員等処遇改善加算」を算定している・したいと思っている事業所は多いのではないでしょうか。
しかし、やや複雑であるため、ちょっとよく分からない…と感じている方も多いと思います。
そこで、今回は「福祉・介護職員等処遇改善加算」について分かりやすく解説します!
内容が複雑で多岐にわたるため、<基本的な考え方><要件の解説>に分けて記事を作成しています。
なお、本加算は令和7年3月まで移行措置が設けられていますが、本記事では、令和7年4月以降に適用される内容について記載しています。
どんな加算?
福祉・介護職員等処遇改善加算とは、福祉・介護職員の賃金向上や職場環境の改善を目的とした制度です。
この加算では、支給される加算金の全額を事業所で勤務する職員(主に利用者に直接サービスを提供する職員)の給与改善に充てることが求められます。
全額が職員のために使われることになるため、事業所の利益とはなりませんが、事業所の人材確保・定着のために有効な加算となっています。
ただし、この加算を得るためには事業所が一定の要件を満たす必要があります。(後述します。)
この処遇改善加算は、以前は「処遇改善加算」「特定処遇改善加算」「ベースアップ等支援加算」と3つに分かれていましたが、令和6年度改正により、「処遇改善加算」に一本化され、加算率が引き上げられました。
なお、地域相談支援、計画相談支援、障害児相談支援については、この加算の算定対象外となっています。
加算の概要
この加算は、事業所がどの程度要件を満たしているかによって異なる加算率が適用されます。
どの加算率が適用されるかは後述しますが、加算の金額は以下のような計算方法で算出できます。
( 基本報酬 + 加算減算 ) × 加算率 × 地域区分ごとの単価
例えば、基本報酬が609単位/日、加算が30単位/日で、月20日通所した利用者が10人いた場合で計算してみます。この事業所の加算率は13.4%とし、地域区分は、「その他」(10円/1単位)とします。
( 609単位 + 30単位 )×20日 × 加算率13.4% × 単価10円
= 17,125.2円(1円未満切捨て)
よって、一人当たり17,125円が月の加算額となります。
利用者は10人いたので、17,125円×10人=171,250円が、事業所が受け取る1ヵ月の加算額となります。
この加算額の全額以上を、事業所で勤務する職員に分配しなければならないため、事業所は171,251円以上の金額を賃金改善額として支給することになります。
賃金改善の対象となる職員は?
この加算は、算定された金額に相当する賃金の改善を実施しなければならない、という条件があります。
対象は「福祉・介護職員」への配分が基本で、特に経験・技能のある障害福祉人材に重点的に配分することとされており、主に利用者に直接サービスを提供する職員が対象ですが、事業所の判断により事務員や管理者などの職員にも配分することはできます。
ただし、例えば、一部の職員に加算を原資とする賃金改善を集中させることや、同一法人内の一部の事業所のみに賃金改善を集中させることなど、職務の内容や勤務の実態に見合わない著しく偏った配分はNGです。
福祉・介護職員とは
ホームヘルパー、生活支援員、児童指導員、保育士、世話人、職業指導員、地域移行支援員、就労支援員、就労定着支援員、就労選択支援員、地域生活支援員、訪問支援員、夜間支援従事者、共生型障害福祉サービス等事業所及び特定基準該当障害福祉サービス等事業所に従事する介護職 を指します。
各障害福祉サービス等の人員基準において置くべきこととされている従業者の職種に限らず、上記の対象職種に該当する従業者は対象となります。
また、上記の他、利用者への直接的な支援を行う職員で、その配置を報酬上の加算として評価されている以下の職員についても、対象に含めることができます。
・就労支援A型の「賃金向上達成指導員」(賃金向上達成指導員配置加算)
・就労継続支援B型の「目標工賃達成指導員」(目標工賃達成指導員配置加算)
・児童発達支援および放課後等デイサービスの「指導員等」(児童指導員等加配加算におけるその他の従業者)
「特に経験・技能のある人材」とは
介護福祉士等であって、経験・技能を有する障害福祉人材と認められる者をいいます。
具体的には、福祉・介護職員のうち介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士または保育士のいずれかの資格を有する者、心理指導担当職員(公認心理士を含む)、サービス管理責任者、児童発達支援管理責任者、サービス提供責任者、その他研修等により専門的な技能を有すると認められる職員のいずれかに該当する者であるとともに、所属する法人等における勤続年数10年以上の職員を基本としつつ、他の法人における経験や、当該職員の業務や技能等をふまえ、各事業者の裁量で設定することとされています。
| 研修等で専門的な技能を身につけた勤続10年以上の職員の例 ・強度行動障害支援者養成研修修了者 ・手話通訳士、手話通訳者、手話奉仕員、要約筆記者 ・点字技能士、点字指導員、点字通訳者 ・盲ろう者向け通訳・介助員養成研修修了者 ・失語症者向け意思疎通支援者養成研修修了者 ・サービス管理責任者研修修了者 ・児童発達支援管理責任者研修修了者 ・サービス提供責任者研修修了者 ・たんの吸引等の実施のための研修修了者 ・職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修修了者 ・相談支援従事者研修修了者 ・社会福祉主事 ・教員免許保有者 など |
どうやって賃金改善すればいい?
加算により算定された金額の配分方法としては、基本給、手当、賞与として配分することとされています。
安定した処遇改善が重要であるため、できるだけベースアップ(賃金表の改定により基本給または決まって毎月支払われる手当の額を変更し、賃金水準を一律に引き上げること)による賃金改善が望ましいとされているのです。
なので、例えば基本給を下げて他の手当を上げる、ということはできません(賃金水準を低下させることはNGです)。
ベースアップのみによる賃金改善が難しい場合には、必要に応じて、その他の手当、一時金等を組み合わせて実施してもOKです。
また、賃金改善を行う方法等について、処遇改善計画書を用いて職員に周知するとともに、就業規則等の内容についても福祉・介護職員等に周知する必要があります。
加算率の概要
この加算は、ⅠからⅣの4段階で区分されています。Ⅰが上位で、Ⅳが最下位という構造になっており、要件を満たすほど上位の加算を得られるという仕組みになっています。

厚生労働省HPより
まとめ
ここまでで、処遇改善加算とは、従業員のお給料を上げるための加算であるということは、お分かりいただけたと思います。
お給料が増えるのは、従業員の方々にとっては嬉しいことですし、支援の質の向上にもつながっていけそうですね。
では、この処遇改善加算を取得するにはどうしたらいいのでしょうか。その要件として、
①キャリアパス要件
②月額賃金改善要件
③職場環境等要件
の3つがあるのですが、これについては別の記事で解説していきます。
最後までお読みいただきありがとうございました!


