【宮城県】【放デイ・児発】業務管理体制の整備に関する届出のやり方
障害者総合支援法及び児童福祉法に基づく指定を受けている事業所を運営する事業者は、法令遵守等の業務管理体制の整備が義務付けられており、整備の状況について、行政機関に届け出る必要があります。
つまり、指定を受けている放課後等デイサービス事業者や児童発達支援事業者などは、必ず業務管理体制の整備を行い、その届出を行う必要があります。
今回は、宮城県での、放デイ・児発の「業務管理体制の整備に関する届出」のやり方について説明します。
1. 事業者の区分はどれに当てはまる?
業務管理体制の整備については、障害者総合支援および児童福祉法によって定められています。障害福祉サービスの種類により、その根拠となる条文が異なり、それにより事業者の区分が以下のように分けられています。
| 事業者の区分 | 根拠となる条文 |
|---|---|
| 指定障害福祉サービス事業者及び指定障害者支援施設等の設置者 | 障害者総合支援法第51条の2 |
| 指定一般相談支援事業者及び指定特定相談支援事業者 | 障害者総合支援法第51条の31 |
| 指定障害児通所支援事業者 | 児童福祉法第21条の5の25 |
| 指定障害児入所施設等の設置者 | 児童福祉法第24条の19の2 |
| 指定障害児相談支援事業者 | 児童福祉法第24条の38 |
放デイと児発は、上記の「指定障害児通所支援事業者」にあてはまります。
他の区分にあてはまるサービス事業所を運営している場合は、それぞれの条区分に応じた業務管理体制を整備することになります。
(例:就労移行支援と放デイの2事業所を運営している場合は、「指定障害福祉サービス事業者及び指定障害者支援施設等の設置者」と「指定障害児通所支援事業者」それぞれの業務管理体制の整備を行う。)
2. どのような整備が必要?
ではどのような整備が必要になるかというと、「法令遵守責任者を選任する」「法令遵守規定を整備する」「業務執行の状況の監査を定期的に実施する」の3種類があります。
ただ、どの事業所も一律にこれらの整備をするわけではなく、指定を受けている事業所や施設の数により、どこまでの整備が必要となるかが変わってきます。
事業所の数に応じた整備は、以下の表のとおりです。
| 事業所数 | 必要な整備 | 届け出る内容 |
|---|---|---|
| 条区分ごとの事業所等の数が20未満 | ・法令遵守責任者を選任する | 法令遵守責任者の氏名(フリガナ)及び生年月日 |
| 条区分ごとの事業所等の数が20以上100未満 | ・法令遵守責任者を選任する ・法令遵守規程を整備する | 業務が法令に適合することを確保するための規程の概要 |
| 条区分ごとの事業所等の数が100以上 | ・法令遵守責任者を選任する ・法令遵守規程を整備する ・業務執行の状況の監査を定期的に実施する | 業務執行の状況の監査の方法の概要 |
この表のように、20未満であれば法令遵守責任者を選任するだけで良いのですが、20以上になると、それに加えて法令遵守規定を整備することも必要になってきます。さらに100以上になると、監査を行わなくてはならなくなります。
法令遵守責任者とは
法令遵守責任者については、資格等は必要ありませんが、少なくとも障害者総合支援法及び児童福祉法及び関係法令等の内容に精通した責任者を選任することが想定されています。
法務部門を設置していない場合には、法令遵守を確保することができる者を選任します。
法令遵守規定を整備するとは
業務が法令に適合することを確保するための規程の整備が必要になります。この規程には、法令等の遵守を確保するための内容を盛り込む必要がありますが、必ずしもチェックリスト等を作成する必要はなく、例えば、日常の業務運営に当たり、法令等の遵守を確保するための注意事項や標準的な業務プロセス等を記載したものなど、事業者の実態に即したものでかまいません。
届け出る「法令遵守規程の概要」については、必ずしも改めて概要を作成する必要はなく、この規程の全体像がわかる既存のもので構いません。また、法令遵守規程の全文を添付しても差し支えありません。
業務執行の状況の監査を定期的に実施するとは
事業者が医療法人、社会福祉法人、特定非営利法人、株式会社等であって、既に各法の規定に基づき、その監事又は監査役(委員会設置会社にあっては、監査委員会)が法及び法に基づく命令の遵守の状況を確保する内容を盛り込んでいる監査を行っている場合には、その監査をもって障害者総合支援法及び児童福祉法に基づく「業務執行の状況の監査」とすることができます。
なお、この監査は、事業者の監査部門等による内部監査又は監査法人等による外部監査のどちらの方法でも構いません。また、定期的な監査とは、必ずしも全ての事業所に対して、年1回行わなければならないものではありませんが、例えば事業所ごとの自己点検等と定期的な監査とを組み合わせるなど、効率的かつ効果的に行うことが望まれます。
届け出る「業務執行の状況の監査の方法」の概要については、事業者がこの監査に係る規程を作成している場合には、当該規程の全体像がわかるもの又は規程全文を、規程を作成していない場合には、監査担当者又は担当部署による監査の実施方法がわかるものを届け出てください。
3. 事業所数の数え方
事業所等の数え方については、その指定を受けたサービス種別ごとに1事業所等と数えます。
事業所番号が同一でも、サービス種類が異なる場合は、異なる事業所として数えます。
例えば、同一の事業所が、居宅介護事業所と重度訪問居宅介護事業所としての指定を受けている場合、指定を受けている事業所は2つとなります。
4. どこに届け出る?
業務管理体制の整備に関する届出書の提出先は、事業者が運営する事業所の所在地や、提供するサービスにより異なります。
| 事業所の所在地 | 届出先 |
|---|---|
| 指定事業所等が2以上の都道府県に所在する | 厚生労働省 |
| 特定相談支援事業または障害児相談支援事業のみを行う事業者であって、全ての事業所等が同一市町村内に存在する | 市町村 |
| 上記以外の事業者等 | 都道府県 |
例えば、仙台市と名取市で1か所ずつ放デイを運営している場合は、届出先は宮城県となりますし、白石市と福島市で1か所ずつ放デイを運営している場合は、届出先は厚生労働省となります。
そして、上記の表の「上記以外の事業者等」は都道府県が提出先となっていますが、その中でも、提供するサービスや所在地により提出先が以下のように異なりますので、よくご確認ください。
| 運営しているサービス | 届出先 |
|---|---|
| 事業者が、以下のサービスのみを運営している場合 ・障害福祉サービス1(居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護) ・障害福祉サービス3(重度障害者等包括支援) ・障害福祉サービス4(共同生活介護、共同生活援助) ・一般相談支援事業所(地域移行支援、地域定着支援) ・障害児入所支援 ・障害児通所支援 | 所管の保健福祉事務所(地域事務所) ※本社と事業所が同じ管内にある場合。 |
| 上記のサービスのみを運営しているが、本社と事業所の所管が分かれている場合(すべて県内) | ・本社が仙台市外:本社のある保健福祉事務所(地域事務所) ・本社が仙台市内:県の障害福祉課 |
| 上記のサービスのみを運営しているが、本社が県外にある場合 | 県の障害福祉課 |
| 事業者が、以下のサービスのみを運営している場合 ・障害福祉サービス2(生活介護、短期入所) ・障害福祉サービス5(自立訓練、就労移行支援、就労継続支援) | 県の障害福祉課 |
| 事業者が、複数の区分のサービスを混同して運営している場合 | 県の障害福祉課 |
| 事業者が、以下のサービスを運営しており、全ての事業所が同一市町村にない場合。 ・特定相談支援事業 ・障害児相談支援 | ・本社が宮城県内:本社のある保健福祉事務所(地域事務所) ・本社が宮城県外:県の障害福祉課 |
| 事業者が、以下のサービスを運営しており、これらの事業所等が全て仙台市に所在する場合。 ・指定障害福祉サービス事業所・指定障害者支援施設 ・指定一般相談支援事業所・指定特定相談支援事業所 ・指定障害児入所施設 ・指定障害児相談支援事業所 | 仙台市 |
県内の保健福祉事務所(地域事務所)は以下のとおりです。
| 市町村 | 保健福祉事務所 |
|---|---|
| 白石市、角田市、蔵王町、七ヶ宿町、大河原町、村田町、柴田町、川崎町、丸森町 | 仙南保健福祉事務所(仙南保健所) 母子・障害班 |
| 塩竈市、名取市、多賀城市、岩沼市、富谷市、亘理郡(亘理町、山元町)、宮城郡(松島町、七ヶ浜町、利府町)、黒川郡(大和町、大郷町、大衡村) | 仙台保健福祉事務所(塩釜保健所) 母子・障害第二班 |
| 大崎市、色麻町、加美町、涌谷町、美里町 | 北部保健福祉事務所(大崎保健所) 母子・障害第二班 |
| 栗原市 | 北部保健福祉事務所栗原地域事務所(大崎保健所栗原支所) 母子・障害班 |
| 石巻市、東松島市、女川町 | 東部保健福祉事務所(石巻保健所) 母子・障害班 |
| 登米市 | 東部保健福祉事務所登米地域事務所(石巻保健所登米支所) 母子・障害班 |
| 気仙沼市、南三陸町 | 気仙沼保健福祉事務所(気仙沼保健所) 母子・障害班 |
5. 届出が必要になるのはどんな時?
以下の場合、届出が必要になります。
・初めて指定を受けた場合
法人として初めて指定を受ける場合は、新規の届出が必要になります。
・新たな事業者の区分で指定を受けた場合
既に別の事業者の区分の指定を受けており、新たな事業者の区分で指定を受けた場合には、新たな事業者の区分での整備の届出が必要です。
例
既に障害児相談支援について仙南保健福祉事務所で指定を受けており、業務管理体制の整備状況は届出済だが、新たに障害児通所支援について仙南保健福祉事務所で指定を受けた。
届出不要の例
既に児童発達支援事業所について北部保健福祉事務所で指定を受けており、業務管理体制の整備状況は届出済みだが、新たに放デイについて北部保健福祉事務所で指定を受けた場合など、届出済の事業者の区分(指定障害児通所支援事業者)と新規に指定を受ける事業所の事業者の区分(指定障害児通所支援事業者)が同じである場合は、新たに届け出る必要はありません。ただし、事業所の数が増え、20未満から20以上になる場合などは、整備の区分が変わるため、届出が必要です。
・事業者の区分ごとに、事業所等の数が20以上または100以上になるとき
事業所数が1以上の場合は、法令遵守責任者を選任する必要がありますが、事業所の増加に伴い、事業者の区分ごとの事業所の数が20未満から20以上になると、必要な整備として「法令遵守規程を整備する」が加わります。
また、100未満から100以上になる場合は、必要な整備として「業務執行の状況の監査を定期的に実施する」が加わります。
このように、それぞれに応じた「整備の届出」が必要です。
・届出先区分の変更がある場合
業務管理体制を届け出た後、事業の展開地域が変わったことにより、届出先の行政機関の区分に変更が生じた場合は、区分の変更を行う必要があります。
区分変更前と区分変更後の行政機関にそれぞれ届け出る必要がありますので、先述の「4.どこに届け出る?」を参照してください。
・区分変更前の届出先:届出先区分の変更届出
・区分変更後の届出先:届出先区分の変更届出+整備の届出
以上を、それぞれの行政機関に届け出ることになります。
例
放デイ事業所が仙台市で指定を受けていたが、新たに福島県で放デイ事業所を開所し、指定を受けた場合。この場合は、届出先が仙台市から厚生労働省になります。そのため、届出は、区分変更前の仙台市に「届出先区分の変更届出」を、区分変更後の厚生労働省に「届出先区分の変更届出」と「整備の届出」を提出する必要があります。
〇仙台市に届け出るもの
・届出先区分の変更届出
〇厚生労働省に届け出るもの
・届出先区分の変更届出
・整備の届出
・届出事項の変更がある場合
既に届出済みの業務管理体制に関する事項のうち、次の内容に変更があった場合は、変更届を提出する必要があります。
1.法人の種別、名称(フリガナ)
2.主たる事務所の所在地、電話、FAX番号
3.代表者氏名(フリガナ)、生年月日
4.代表者の住所、職名
5.事業所名称等及び所在地
6.法令遵守責任者の氏名(フリガナ)及び生年月日
7.業務が法令に適合することを確保するための規程の概要
8.業務執行の状況の監査の方法の概要
6. 届出書類は?
事由に応じて、以下の書類を用意して届け出ることになります。
| 届出が必要となる事由 | 届出様式(児童福祉法) | 届出様式(障害者総合支援法) | 添付資料 |
|---|---|---|---|
| 業務管理体制の整備に関して届け出る場合(新規の届出) | 様式第3号の10 | 様式第1号 | 事業者等の数が20以上の場合は「業務が法令に適合することを確保するための規程の概要」を、100以上の場合は「業務執行の状況の監査の方法の概要」を添付。 |
| 事業所等の指定等により事業展開地域が変更し届出先区分の変更が生じた場合 | 様式第3号の10 | 様式第1号 | 事業者等の数が20以上の場合は「業務が法令に適合することを確保するための規程の概要」を、100以上の場合は「業務執行の状況の監査の方法の概要」を添付。 |
| 届出事項に変更があった場合 | 様式第3号の11 | 様式第2号 | 事業者等の数の変更により、7.業務が法令に適合することを確保するための規程の概要、8.業務執行の状況の監査の方法の概要を追加等する場合は、それぞれの概要がわかる資料を添付。 |
これらの様式については、宮城県のウェブサイトからダウンロードすることができます。
7.届出方法は?
上記の書類を、郵送または持参にて、該当する担当部署へ提出します。(FAX、メールは不可)



