支給量の管理とは
障害福祉サービスを利用する際、利用者にはそれぞれ決められた「支給量」があり、その支給量の範囲のなかでサービスを利用することになります。
今回はこの「支給量」について解説していきます。
支給量とは
支給量とは、1ヵ月に障害福祉サービスを利用できる上限日数のことです。
市町村等により利用者個々に決定されますが、厚生労働省によると、最大の支給上限日数は月の日数マイナス8日とされています。
複数の障害福祉サービスを併用する場合は、契約支給量の合計が、決定された支給量の範囲内となるように、利用者、事業者、市町村等がそれぞれ管理を行います。
支給量管理の対象サービス
サービスの性質上、複数の事業者からの利用が想定される以下の障害福祉サービスは、必要に応じて支給量管理を行うことになります。
- 居宅介護
- 重度訪問支援
- 同行援護
- 行動援護
- 短期入所
- 生活介護
- 自立訓練
- 就労移行支援
- 就労継続支援
- 児童発達支援
- 医療型児童発達支援
- 放課後等デイサービス
- 保育所等訪問支援
- 居宅訪問型児童発達支援
一方、地域移行支援、地域定着支援、自立生活援助、就労定着支援については、同一月において複数の事業者からの利用が想定されないため、支給量管理は不要です。
事業所が行う支給量管理の事務
新規に契約した時
利用者と新規に契約をした際には、利用者から「障害福祉サービス受給者証」の提示をしてもらいます。この受給者証で、受給資格や、1月あたりの決定支給量を確認します。
そして、決定支給量の範囲内で、受給者証の事業者記入欄に、事業者、事業所の名称、区分、契約支給量、契約日を記入し、確認印を押印します。(事業者記入欄は、番号順に、1つの欄に1つの区分を記入します。)
※ 利用者が複数の事業者と契約する場合
利用者が、他の事業者と自事業者を同一区分で併用する場合、決定支給量から差し引いた残りの決定支給量の範囲で契約を行うことになります。
例えば、Aさんの決定支給量が25日であり、B事業所と15日通うという契約をした場合、C事業所は10日の範囲内で契約をすることができます。
契約を行ったら、受給者証の事業者記入欄に記入します。
契約内容の報告
利用者と契約を行ったら、「契約内容(障害福祉サービス受給者証記載事項)報告書」を市町村等に提出します。
【報告する内容】
・ 受給者証の事業者記入欄の番号
・ サービス内容
・ 契約支給量
・ 契約日
・ その他必要事項

国保連への請求
利用者へサービスの提供を行ったら、国保連への報酬の請求を行います。その際、支給量について以下の点について注意する必要があります。
- サービスは支給決定の範囲内か
支給決定量を超えた給付費の請求はすることができません。サービスの提供量が支給決定量を超えていないかを確認してください。また、複数の事業所を利用しており、上限額管理が行われている場合、各事業所からの請求も支給決定量の範囲内であるかを確認するようにします。 - 基準に沿った請求であるか
厚生労働大臣が定めた基準に沿った請求内容となっていることが大事です。例えば、放課後等デイサービスや児童発達支援であれば、
「児童福祉法に基づく指定通所支援及び基準該当通所支援に要する費用の額の算定に関する基準(平成24年厚生労働省告示第122号)」
「児童福祉法に基づく指定通所支援及び基準該当通所支援に要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について(平成24年障発0330第16号)」
という基準や通知があります。
この基準や通知に沿った請求がされていることや、算定の要件とされている記録がきちんとあるか、ということは審査でチェックされるポイントです。 - 有効な指定事業所であるか
指定基準に沿って都道府県の指定を受けている事業所であることが前提ですので、以下の点を確認します。
・サービスの提供日が、事業所指定の有効期間内であるか(指定の有効期間外であった場合は、該当日が指定更新申請中であれば可)
・サービスの提供日が、指定の効力停止期間でないか
国保連請求でよくあるエラー
国保連への請求を行う際、支給量管理に関してよくあるエラーについて紹介します。
| エラーコード | メッセージ |
|---|---|
| EG27 | ※資格:請求明細書のサービス提供量が受給者台帳の「決定支給量」を超えています |
| EG38 | ※資格:実績記録票のサービス実績量が受給者台帳の「決定支給量」を超えています |
| EG60 | ※資格:請求明細書のサービス提供日数が原則の日数(当該月の日数から8日を控除した日 数)を超えています |
| PP04 | ▲支給量:請求明細書のサービス提供量の合計及び「契約支給量」の合計が受給者台帳の「決 定支給量」を超えています |
EG27とEG38は、単一の事業所の請求におけるチェックで、【明細書】のサービスコードから算出したサービス提供量、【実績記録票】から取得したサービス実績量が、それぞれ決定支給量を超過している場合に検出されます。
EG60は、日中活動系サービスでサービス提供量(日数)が原則の日数(当月の暦日数-8日)を超えている場合に検出されます。
PP04は、複数事業所がかかわっているときに、合計したサービス提供量及び契約支給量が決定支給量を超過している場合に検出されます。
サービスの利用者に限らず、サービスを提供する事業者側も支給量管理を行うことが求められており、決定支給量や契約支給量に対してサービス提供量が超過していないか確認した上で請求を行うようにします。
参考
国民健康保険中央会「障害福祉サービス・障害児支援 請求事務ハンドブック」令和6年5月版



